感情と記憶を結びつける扁桃体の働きとは?

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扁桃体とは?

扁桃体とは、恐怖などの情動感情に関わる機関です。人が感情を揺さぶられるような外部からの刺激を受けた時、扁桃体が活性化します。扁桃体の働きにより、記憶に影響が出たり、ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリンの分泌が促されたりします。

扁桃体について詳しく知ることで、ストレスの対処法や効率的な記憶方法などの理解につながります。この記事を読んで頭の片隅に扁桃体についての知識を入れておくだけで、方法論ではなく、「どうしてそうなるのか?」というワンランク上の理解が得られます。

扁桃体と情動反応

感情のコントロール

人間の感情は、コントロールすることがとても難しいです。感情をコントロールできずに恐怖や怒りなどの強い情動感情を感じてしまうと扁桃体が過度に活性化することになります。

過度な扁桃体の活性化は、ストレスホルモンの分泌を促すことにつながります。ストレスホルモンの分泌で受ける影響は、呼吸や脈拍など体に影響を及ぼす事柄から、精神的な影響まで様々です。

特に影響を受けやすいのは記憶です。ストレスホルモンが分泌されることにより、原因(恐怖や怒り)となった感情を伴う記憶は、脳に強い印象付をします。感情に関わる記憶は、長期記憶として、頭の中に残りやすくなります

扁桃体は子供の方が活発に働く

感情のコントールについて、子供は感情を抑えることをしないため、扁桃体が活発に働いています。大人になればある程度は怒りなどを抑えたりすることができます。子供は、自分の感情に素直に行動するため感情を抑えることをしません。

子供が自分の感情に正直で素直なことは、大人も見習わなければいけないことですが、だからこそ注意しなければいけないことがあります。

大人に比べて子供は扁桃体が活発に働いています。子供の頃の感情を伴う強烈な記憶は、子供にとって一生残る記憶になってしまいます。それは、良い記憶であれ、悪い記憶であれ、人生を変えてしまう可能性があります

子供の頃の良い思い出が、やがて夢となって子供の人生の道しるべになる事もあれば、嫌な思い出がトラウマになって一生に影を落とすかもしれません。強力な感情が記憶に及ぼす影響を考え、子供のケアをしっかりしていくことが大切です

扁桃体と記憶の関係

情動は記憶に残りやすい

恐怖や怒りなど強い感情を伴った記憶は、扁桃体の働きにより、長期的に記憶されます。長期に記憶するということは、忘れられない事も意味します。楽しい記憶は思い出すたびに愉快な気持ちにさせてくれるので、どれだけ多くの思い出が記憶されていても困りません。

しかし、恐怖や怒りの感情は思い出すたびに、トラウマを思い出して不快な気持にさせます。嫌な時の思い出は忘れようとしてもなかなか忘れられません。嫌な記憶が頭の中に残り続けることがトラウマの記憶となって人を苦しめます。

ストレスが記憶に及ぼす影響とは?感情を揺さぶる記憶術も!!
ストレスは扁桃体を通して記憶に影響を与えます。感情と記憶の結びつきは強いため、記憶術に応用できます。しかし、ストレスを感じる記憶ほど脳は記憶しやすい性質があります。不安やイライラが募ります。古いトラウマとの結びつきが、うつ病などの症状に出ます。
ストレスと記憶の実験

扁桃体の働きにより、ストレスを感じさせる感情(怒り・恐怖)が記憶の定着に影響するのかどうか、マウスを使って実験がなされました。

マウスを用いた実験では、ストレスホルモンを与えたマウス何もしていないマウスとの間で、餌の場所等の記憶に関して変化があるかどうか調べられました。

結果的に、ストレスホルモンを投与されたマウスが記憶を長期に保持することが出来ました。実験により、記憶と感情の結びつきは科学的にも証明されています

過去の記憶とも関連付ける

扁桃体の記憶に及ぼす影響は、単に長く頭の中に情動を伴った記憶が保持されるわけではありません。扁桃体が刺激され活発になると、過去の記憶との結びつきを促します

例えば、何か嫌な思いをした時に、扁桃体は頭の中の記憶を検索して同じような記憶を見つけ出します。そして、過去の嫌な記憶と、現在起きている嫌なことを、関連付けて記憶します。

しかも、関連付けが強いほど脳内に長期に記憶されることになります。過去に強烈なトラウの記憶を持っている人ほど、些細なことでも過去のトラウマと結び付き、事実以上に嫌な気持ちを感じることになります。

負の感情を伴った記憶は、何度も同じような状況を経験すれば経験するほどに、当人を敏感にしてしまい、傷つき易くしてしまいます心の病気(うつ病、PTSDなど)を患ってしまう人は、負の記憶のループから抜け出せなくなる事から始まります。

扁桃体と心の病気

扁桃体が、人の感情に反応して記憶に影響を及ぼすことを上記で説明してきました。扁桃体が及ぼす負の側面は、こころの病気を患っている人に特に影響します。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者の脳内では、一般的な人に比べて扁桃体が過剰に活動している状態、過活動であることが分かっています。外部からの刺激によって生じたトラウマが、感情を伴い強い記憶として脳内に残り続けている為です。

PTSDの患者は、唐突に恐怖を感じたり、不安が続いたりします。原因には引き金となる、強烈な情動的な記憶があるはずです。大多数の人達が気にもしないことに対して、強い不安や恐怖心を抱いてしまいます

PTSD以外にも、うつ病やASD(自閉症スペクトラム障害)など、こころの病に共通して同じことが言えます。もし思い当たる節があるなら医師に相談することをお勧めします。薬の処方以外にも治療として、セラピーや瞑想などが用いられることがあるそうなので参考にしてください。

「マインドフルネス瞑想」初心者が知っておくべき基本と実践方法
マインドフルネス瞑想についての基本的な知識、初心者向けの実践方法を紹介します。マインドフルネス瞑想は、ストレスの解消、睡眠障害の解消などセラピーとしての役割があります。また、学習能力や記憶力など頭がよくなる要素もあります。ビジネスの分野でも注目されているマインドフルネス瞑想を実践する価値はあると思います。

まとめ

要点のまとめ
  • 扁桃体は情動感情に関わる
  • 感情が伴った記憶は忘れない
  • 過去の記憶との関連付けがされ、より強力な記憶になる
  • 子供は扁桃体が活発に働く為、注意を払う必要がある
  • 扁桃体の負の側面は、こころの病気として現れる

扁桃体は、感情の働きと密接に関わってきます。基本的な知識を抑えておくだけで、ストレスに対する対処だったり、記憶についての深い理解が得られます。ぜひ覚えておいてください。

Source
Deniz M. Yilmazer-Hanke, in The Human Nervous System (Third Edition), 2012

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