ワーキングメモリー
ワーキングメモリは作業記憶とも呼ばれ、情報の保持と処理が同時に行われる短期記憶です。短期記憶や長期記憶など記憶の過程が重要視されていますが、ワーキングメモリも注目すべき記憶の一つです。


ワーキングメモリーに関する基本的な情報をまとめます。本ブログに掲載されている他の記憶に関する記事の理解に役立ちます。情報は随時更新していきます。
保持と処理を同時に行う
ワーキングメモリは、言語理解、暗算、推論などに用いられる。人は言葉を話す時、今話している内容よりも、少し前に何を言ったかを頭に留め置きながら話を組み立てます。ワークングメモリにより一時的に記憶が保持されながら、言語処理が行われます。
ワーキングメモリの概要を理解するために、暗算をイメージするのが分かりやすいです。
紙などの媒体を使って計算を行う時は、計算式や数字を紙に書き込むなどして、記憶自体は紙に任せ、計算の処理は脳内で行なっています。暗算の場合は、計算式や数字を頭の中で保持したまま計算を行なっているため、一時的な情報の保持と処理が同時に行われます。
ワーキングメモリが扱う情報
ワーキングメモリは、情報を保持しながら処理を行いますが、保持する情報は、短期記憶のように直近の情報だけではなく、長期記憶からも処理に必要な関連した情報を引き出します。
例えば、会話をしながら言語理解を行う場合に、相手が話している内容に対して、言葉を返す時、短期記憶として相手の会話内容を記憶しながらも長期記憶の中から返答に相応しい言葉を引き出します。
ワーキングメモリは、新しく得た情報だけを処理しているわけではなく、古い情報と新しい情報を勘案しながら処理を行なっています。
ワーキングメモリの制限
短期記憶は記憶できる時間が、約30以内と短い時間しか情報を保持出来ず、覚えることのできる情報の数も限られています。同様にワーキングメモリも、記憶できる全体量である記憶容量と、記憶した情報の処理の速さを表す処理速度に限界があります。
数字の暗算でも一桁の暗算(3×3)は簡単にこなす事が出来ますが、二桁以上の暗算(33×33)は、簡単には出来ません。ワーキングメモリの容量と処理速度に限界が有る為に、難しく感じてしまいます。
ワーキングメモリの分類
ワーキングメモリは大きく分けて二つに分類されます。
- 言語性ワーキングメモリ
- 視空間性ワーキングメモリ
言語性ワーキングメモリは、文字や言葉で表す事ができる情報を記憶し処理を行います。文字を読んでいる時や会話をしている時、文章を書いている時に言語性ワーキングメモリが働いています。また、計算など数字を扱っている時にも働きます。
視空間性ワーキングメモリは、視空間における情報であるイメージや絵、位置情報などを記憶し処理を行います。主に図形や絵を描いている時や視覚に映る情報を処理する時に働きます。
幼児教育における発達
ワーキングメモリが最も活発に働く時期が幼児期です。幼児期には多くの情報を処理し学ぶ必要がある為です。幼児期には複雑な言語の習得や社会性の獲得など様々な事柄を、主に音や視覚を通して学習します。幼児期においては、言語性ワーキングメモリと視覚性ワーキングメモリが両方とも活発に働いています。
幼児期に発達するワーキングメモリは、視覚性ワーキングメモリが言語性ワーキングメモリよりも早い段階で発達する事がわかっています。幼児は言葉ではなく、視覚から入る情報を元に学習をしていることが分かります。
幼児期の教育の必要性は、ワーキングメモリが最も活発に働いている事実からも明らかです。特に、視覚性ワーキングメモリを利用した教育方法が、子供のワーキングメモリの開発において有効的な結果が得られます。
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